ある日、地下鉄に乗ってデパートに行った。車内はガラガラだし、デパートは臨時閉店、おまけに地下通路の人通りは疎らで行き交う人々は、皆、風邪をひいたのかマスクをしている。5月なのに変だ。まるでSFの世界である。この世の終わりかなと思った。
もし、去年のゴールデンウイーク(GW)から突然、1年後に瞬間移動したら、誰もがこう思うだろう。賑わいのGWが、突然、閑散としたGWになったのだから、戸惑い、ビックリする。
現実には4ヵ月かけて徐々に変化した。それでも、飛行機も飛ばない分断された世界に違和感を覚えている。しかし、密閉、密集、密着を禁止された状況には慣れてしまった。元々孤独だからね。変わったことと言えばカラオケに行かなくなっただけだ。
約15年前にカラオケを始めてから、こんなに長い間、カラオケに行かないのは初めてだ。月に2,3回は行っていたのに、ひと月もすると行かないことに慣れてしまった。あれほど好きで、このブログ「音痴のカラオケ」を開設したくらいなのに不思議だ。
歌いたいなら一人でも歌えるはずだが、2,3回、一人で歌ったら厭きてしまった。カラオケボックスに行かないと、歌う気がしないのだ。それでも聴くのは大好きだ。
音楽を毎日のように聞きだしたのは、自分専用のトランジスターラジオを持ったときからだ。あれから60年たった。それに比べるとカラオケはたった15年だ。カラオケに行かない生活には慣れたが、歌を聴かずにはいられない。
カラオケ無しの生活に慣れたことより、もっと不思議なことがある。60年間も聞いていたのに、何故まともに歌えないのだろう。多分、何となく聞いて、身を入れて聴いたことがないからだ。
カラオケをやって好かったことは、歌う気持ちになって、身を入れえて聴くようになったことだ。聴くことがいっそう楽しくなった。ちゃんと歌えるようにはならなかったけれど、収穫は充分あった。
毎週土曜更新、またの訪問をお待ちしています!