2002年10月05日

ヒヨコ英語教室

2002年10月頃 ヒヨコ英語教室
退職したばかりの頃だが暇つぶしに市内の老人福祉施設に行った。「12月25日はクリスマス演芸会です。男性は黒いスーツに蝶ネクタイをして下さい」と先生は言った。

ここは高齢者対象の「ヒヨコ英語教室」。五つある教室が合同で大ホールを借りきりイベントをやるそうだ。私にとっては初めての舞台である。これはエライことになったと思った。

小学校の学芸会以来、舞台などに上がったことがない。蝶ネクタイまでするのだから嫌にる。普段は教室の片隅で大人しくしているのだが、こんなことを言われては黙っていられない。間髪入れず異議を唱えた。

「あの〜、蝶ネクタイは持っていませんが」 
私にとっては精一杯の抵抗だ。
「ご心配いりません。百円ショップで売ってます」
と、軽くかわされてしまった。

教室には分別のありそうなシニアが28人もいる。私が口火を切れば「嫌だ。嫌よ」の大合唱が起こると期待したのだが、そうは問屋が卸さない。思わぬ方向にどんどん進んで行ったのだ。

「蝶ネクタイは私が纏めて買ってきましょう。一人ひとり行くのも脳がないですからね」と仰る方が現れた。これも確かに分別だが事態は思わぬ方向に、どんどん進んで行った。

「女性は白いブラウスに黒のスカートがいいと思いますが」
「胸に赤いバラをつけるのはどうでしょう」
「男性もつけてもいいですか?」

一体どうしたことだ! ここでは私の所属していた社会とは全く違う常識が支配している。変わらなければならないのは私なのか? 信じたくはないが そうらしい。

こうしてクリスマス演芸会は始まった。意外にも皆さんは活き活きととして楽しそうだった。よく考えてみれば当たり前、好きな人しか参加しないのだ。嫌々来たのは私だけらしい。退職したばかりなので、無断欠席とか柔軟な対応が出来なかった。

結局これがカラオケを始める切っ掛けとなった。練習の為いつも隣で歌っていたAさんが3年後にカラオケに誘ってくれたのだ。もちろん私のオンチは充分知った上なので喜んで誘いにのった。英語の勉強は名ばかりで殆ど雑談と歌のヒヨコ英語教室だったが、私に新しい趣味を与えてくれる切っ掛けになった。
posted by 中波三郎 at 19:48| Comment(0) | カラオケを楽しむ